京都ちょうちん

街を抜けると、赤いちょうちんの整列した場所に出た。
「昔は遊郭」だとか母親がうそぶいて、けれど、隣には確かに舞妓さんたちが歩いている。
当たり前のように着物を着て、当たり前のように日本髪を結っている。
タイムスリップしたのか、と思う私の言葉だけが、現代的だった。
ちょうちんには何か文字が書かれていた気がするが、たぶんそれは「ご飯どころ」とかそういったもので、私は、赤いちょうちんが脈々と果てしなくつながっている光景に目を奪われていた。
ひとつ、簡素なちょうちんが有って、私と旅行者はその店を目指す。
中に入ると京懐石のお品書きがあって、私と相手はお昼のご飯を済ませた。
店の中にも赤い飾りがいくつも飾られていて、
きっと、夏になったら風鈴の音が響くのだろう、と思った。
外のちょうちんの光が、店のガラス戸からもみえる。私は、旅行者と一緒に、もくもくと懐石料理を口に運ぶ。
冷たい豆腐や、湯葉のお刺身なんかも有った気がする。慣れないちょうちんと店の赤いともし火で、ふわふわした気持ちになっていた。
外に出ると夜になっていて、ちょうちんが煌々と足元を照らしている。
手をかざしてみると、私の手も赤く染まった。
まるで非現実的な風景なのに、現実であり、
まるでファンタジックなのに、懐かしく。
ちょうちんの灯りというものは、昔を懐かしむ気分にさせる。